寿司職人同様、コックさんも手が命の職人です。
厨房に入ってさまざまな料理をつくる様を見ていると、すごく魅力的ですし、あの長いコック帽がとっても素敵。

コックさんの手は、寿司職人の手よりも少し荒れていることが多いかもしれません。
なぜなら、包丁で手を切ってしまうことが寿司職人よりも多いですし、フライパンなどでやけどをしてしまうことも多々あるから。
手のやけどをしていないベテランコックさんは、恐らくいないのではないでしょうか。

一人前の職人になるまで

コック見習いの人は、まずは皿洗いから始まります。
皿洗いを経て、野菜などの下ごしらえができるようになり、その後飾り付け、調理とステップアップしていくわけですが、一人前の職人になるまでには、何年もの時間を要する場合もあるようです。

寿司職人はもちろん、コックの修行もかなり厳しいといわれていますので、「どうしてそんなに非生産的なことをするのか?」というい疑問が湧いている方も多いようです。
けれど、修行といってもノーギャラで行われているわけではありません。その見習いの人の報酬も、お客さまの飲食代からまかなわれています。

では、すぐにでも料理を教えて即戦力として活躍してもらえばいいのでは?と思われるかもしれません。
しかし、料理というのは、一週間やそこら研修をしたからといって、すぐにベテランと同じような仕事ができるわけではないのです。
そして、研修を行っている間、その見習いさんはお店の経営的に、何の役にも立っていないわけですよね。
そのようなムダなお給料を払うわけにはいきません。

最初はみんな見習い

掃除も皿洗いも、お店を運営していく上で必ず誰かがやらなければならないお仕事です。
見習いさんが、現段階でその仕事しかできないのであれば、皿洗いがメインになってくるのは当然のことなのです。
今できる仕事をしていただきながら、現場の雰囲気に慣れ、仕事の流れを掴んでいってもらうというのは、経営の上でも当然のことですし、見習い業としてもとてもスムーズなわけですね。

コックの仕事は本当に厳しく大変なものですが、得られるものも大きく、とてもやりがいがある仕事です。
どこまでも自分の能力を高めていくことができ、勉強に終わりがないので、どんどんのめり込んで行ってしまう人が多いのもうなずけます。
一流料理人の仕事技には目を見張るものがありますが、ああした一流の料理人たちも、最初は見習い、皿洗いから始まったのだなと思うと、感銘深いですね。